HMV&BOOKS書店員が選ぶ“秋の夜長につい止まらなくなる本”5選

そんな時は、おうちにいても季節を感じさせてくれる本を選んでみるのもアリかも!
読書のきっかけに、HMV&BOOKS SHIBUYAの書店員が選んだ『秋の夜長につい止まらなくなる本5選』をご紹介します♡
小説:楽園のカンヴァス/原田マハ (出版:新潮社)
秋といえば芸術の秋。原田マハさんの代表作にも数えられる2012年の作品です。美術作品をめぐるミステリーとしてもぐいぐい引き込まれるのですが、作中で紹介される作品の数々を、スマホで検索して鑑賞する読み方も一興です。
なんとなく知っていた作品が、由来を知り、見所が分かると一気に作品世界に没入できてしまうことも。小説世界に、はたまた絵画の作品世界に、どちらの世界にも引きこんでくれる一冊。
漫画:スケッチー 3/マキヒロチ (出版:講談社)
秋といえばスポーツの秋。オリンピックの正式種目となり注目を集めるスケートボード。『いつかティファニーで朝食を』や『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』のマキヒロチさんの最新作です。
登場人物たちは、みんな何かしらの生きづらさを抱えながらも、スケートボードとの出会いから何かが変わりはじめる群像劇。3巻の終わりからは新しい物語が始まる予感も。物語のおもしろさで引き込まれながら、躍動感あふれるスケーターの描写が目を惹きつけてやみません。
エッセイ:味なメニュー/平松洋子 (出版:新潮社)
秋といえば食欲の秋。たらふく美味しいものを食べて食べて食べまくりたい季節でもあります。創業1844年(葛飾北斎がまだ生きていた!)の関東煮の超老舗に、銀座のシチューのお店、さらには立ち食いそばからオフィス街に登場するキッチンカーまでを織り交ぜて紹介する名店食エッセイ。
どのページを開いても、いい感じの飲食店の扉をくぐった瞬間の、あの美味しい雰囲気が行間からあふれています。いつまでも美味しい料理を味わっていたいように、読書にとどまり続けてしまう一冊。
小説:死体を買う男/歌野晶午 (出版:講談社)
秋といえば読書の秋。生誕120年をすぎてもなお読み継がれる日本推理小説の始祖江戸川乱歩。そして日本近代詩の父と称される萩原朔太郎。なんとこの二人が探偵となって、事件を解決するミステリー。という作中作があり、この作中作をめぐる物語も同時進行。
めくるめく展開に翻弄されるように読んでいると最後の最後思いもよらない結末に。一気読み後、乱歩や朔太郎作品も読みたくなる読書へ誘う本格推理小説。
小説:TVピープル/村上春樹 (出版:文藝春秋)
秋といえば睡眠の秋でもあります。しかし、本書に収録された短編『眠り』の主人公は、眠れなくなって17日目。眠れなくなってからの意識や身辺の変化が記述されていく一風変わった短編です。
眠れなくなり、これまでの人生を省察し、行動が変わっていく。しかし結末では…。70頁に満たない短編なのに、人間の根源的な不安を不気味に描き、事件が起こるわけでもないのに読む手を止められない作品です。